元本保証の投資には時間確保が不可欠

元本を損失するリスクを負わずに、投資をしたいと思ったことはありませんか。できることならば、誰もが損失なくリターンだけを得たいと思っていることでしょう。そんな都合の良い話は、非現実的なのでしょうか?いいえ、時間さえ味方につけることができれば、それも可能なのです。
プロフェッショナルとして、私達はいつもご投資家毎に異なる投資予定期間、ニーズに合わせ、適切な運用商品を案内します。投資予定期間が10年ぐらいと十分に長ければ、一挙両得もありえます。1円も元本を失うことのないようリスクを限定した上で、リターンを全て享受する方法もあるのです。また、定期的に利益の一部をロックし、保証する元本額面を逓増させる機能を持つファンドも存在します。真実にしては話がよすぎると思うかもしれません。では、この元本を保証しながら運用する投資商品とは、どのようなものなのでしょうか。
ここ数年間で人気がとても高まっているのが、この満期時元本償還保証型の商品です。これは、上昇した投資利益分を享受することはもちろん、投資金額の100%を少なくとも保証するというもので、投資商品にはそれぞれ満期日が設定されています。通常の元本保証がない投資商品と異なり、満期時までの保有が前提であれば、下落リスクだけが限定され、上昇益は無限に享受できますから、個人投資家にとっては、とても魅力的なファンドです。一体、どのようにして投資元本を確保しているのでしょうか。

2つの元本保証型商品とは何か?

元本を確保する保証の仕組みは、通常大きく分けて2種類の構造があります。2つの大きな違いは、ヘッジのテクニックにあります。当初投資した元本の表面価格を保証するには、フィナンシャル・エンジニアによるヘッジ構成が必要です。
その一つ、ゼロクーポン構造は、最も単純且つ静的なヘッジ構造です。保証となる金融商品を購入することで、保証の仕組みが組成されます。もう一つの構造、CPPI構造はより複雑で、高度な金融工学を駆使した機動的なヘッジを用います。機動的なヘッジとは、満期までの期間を通して、保証が履行されたり、取り除かれたりするものです。

ゼロクーポン構造

ゼロクーポン構造は、金融工学に基づく、ごくシンプルなデリバティブで、ゼロクーポン債と原資産のパフォーマンスに連動するコール・オプションがパッケージとなり構成しています。
まず、投資元本を償還できるように、大手銀行が、満期時までに投資金額を100%充当するように成長する資金を一部投資資金から抵当にとります。その資金を、債券のように、表面時価を保った商品で運用し、満期時に元本を償還するという仕組みです。具体的には、投資元本を保証する満期日までの設定期間とゼロクーポン債の利回りをベースに投資配分を決定します。仮に、設定期間が13年間、投資元本を100ドルとした場合、70%程度の資金、つまり70ドルでゼロクーポン債を購入します。この70ドルで購入したゼロクーポン債が、満期日を迎えるときにちょうど100ドルになるのです。このゼロクーポン債の購入により、満期時までの期間を通じ、変動なくヘッジするようになっているため静的なヘッジといえます。そして、諸費用を差し引いた残りの投資資金は、レバレッジをかけ、投資されることになります。
元本保証の仕組みを組成した時点での金利が、保証にかかるコストを決定し、原資産のパフォーマンスに連動するコール・オプションを購入できるかどうかも左右します。金利が下落すれば、保証にかかるコストが増大し、コール・オプションを購入する資金が減ることになります。逆もまた然りです。金利が上昇し、保証にかかるコストが減れば、コール・オプションを購入する資金が増えることになります。このような商品の運用期間は、投資通貨や金利により決定され、通常、6-13年です。

元本保証は原資産の投資ポートフォリオが鍵

債券だけではなく、元本償還保証型商品のリターンは、組み込まれているオプションの定期的な価値によっても決まります。定期的にクーポン(利息)が支払われる保証はありませんから、一般的な元本償還保証型商品は、代わりに、満期時に元本とこうした投資利益を一緒に全て支払います。
このような構造から、元本償還保証型商品は、投資内容によって0%から最高100%まで支払われる変額クーポンが付随した債券としても考えられます。定期的なクーポンを支払う商品は一般的ではなく少数ですが、投資家を惹きつけるために、希望者が定期的にリターンを受取れるように設計されている商品もあります。多くの場合、定期的な支払いは、元本に対する利益であり、定期的に受取るごとに、支払相当額の保証額面が減少するものもあれば、投資利益をロックし額面に組み入れ、保証額面を増やすものもあります。
結局、投資商品のパフォーマンスは、原資産の投資パフォーマンスによって決定します。 理論的には、投資期間中、純粋に原資産が上昇した分だけ最大限リターンが得られますが、実際には、原資産のリターンから数パーセントをキャップ購入に充てるため、保証のない原資産よりはリターンが少し下がるでしょう。従って、この構造では、純粋に原資産パフォーマンスによってリターンが左右されるため、収益機会は市場状況に制限されるということになります。

CPPI構造

CPPI構造は、より柔軟性に富み、広く利用されています。この仕組みで保証を構築する場合、まず、第一に、諸費用を除く元本全てが投資されます。元本確保を必要とするかは、原資産のパフォーマンスによって決定します。元本確保が必要な場合には、ゼロクーポン債を購入し、必要なくなれば、後に保証を売却します。市場状況に基づきヘッジするため、機動的です。フィナンシャル・エンジニアが常に保証が必要かどうか監視し、複雑な金融工学の公式を用いて原資産のパフォーマンスを算出します。
もし、投資期間中に償還額面と保証コストが同じになってしまうと、全保証を購入することになります。これが、ノックアウトシナリオです。ノックアウトすると、当初の投資元本だけが支払われます。投資後間もなくノックアウトしてしまった場合、投資家は、満期まで待ち、投資資金を取り戻さなくてはなりません。
ですから、保証までのタイムフレームが短すぎる商品は、あまりお勧めできません。原資産の損失が比較的少なく一時的であっても、ノックアウトしてしまうからです。長期の商品であれば、保証コストはそれ程かからず、ノックアウトが発生する可能性も低くなります。

投資予定期間に合った商品は心強いツール

一般的に、元本償還保証型商品の投資内容は、かなり積極的に構成されているため、元本保証機能なしには、経験が少ない投資家には変動率が高すぎます。一方、債券ファンドやよく分散されたミューチュアル・ファンドのような低リスクのものに投資するのであれば、元本保証の仕組みはあまり必要ないでしょう。
このように、リターンを得るために少し辛抱強く待つことさえできれば、都合の良い願いも叶えられるのです。商品の投資期間と投資予定期間が合致しているならば、満期時元本償還保証型商品はあなたのポートフォリオにおける心強いツールになるでしょう。そして、投資後には、ぐっすりと眠れる夜が待っていることでしょう。

[脚注]

* デリバティブ
金融派生商品の意味。通貨や株式、債券などの現物商品の取引ではなく、変動する商品の価格を主な取引の対象とします。変動を予測する先物取引や、変動金利と固定金利を交換する金利スワップ取引、株式や債券を定められた期日に一定価格で売買する「権利」を売買するオプション取引などがあります。少ない原資で多額の取引ができるため、見通しを誤ると巨額損失を被る危険性もあります。
* オプション
デリバティブの一種であり、ある原資産について、あらかじめ決められた将来の一定の日又は期間において、一定のレート又は価格(行使レート、行使価格)で取引する権利です。
「コール・オプション」とは、買うことができる権利。「プット・オプション」とは、売ることがきる権利を意味します。
* キャップ
金利デリバティブの一種で金利上昇をヘッジするように設計されたもの