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不安定な市場下でも上昇しているウィズプロフィットファンド

私も苦手とすることですが、皆さんも突然自分の運用資産が急落したと聞くのは避けたいでしょう。急激な市場の変動によって、パニック状態になり、売却しようとするときには、大抵最悪のタイミングです。大事に育ててきた資産価値が下落すると、このままどんどん少なくなってしまうと考えて、脅え、不安になるのは人間の性として当然です。ロスカットして売るべきタイミングかもしれないと思案する方もいらっしゃるでしょう。資産クラスによっては、このようなマーケットは、追加投資をする絶好のタイミングにもなりえるということを理解してはいても、今回は異なり、回復しないかもしれないと躊躇してしまう方が一般的だと思います。長期的には、株式市場は上昇しますが、短期的な変動率に挫けて、多くの投資家がその信念を曲げてしまうのです。
そんな人間の心理をもってしても、上手く投資できる投資商品があります。 時間をかけて変動を抑え緩やかな上昇曲線を描く、ウィズプロフィットファンドと言われるファンドです。マーケット状況が良いときの利益の一部を留保して、マーケット状況の悪く、パフォーマンスが奮わなかったときに、ボーナスとして留保部分から補填するというスムージング手法が用いられています。このスムージング効果によって、安定的なリターンが毎年もたらされ、株式市場が急落しているときにでも定期的な上昇を得ることができます。
ウィズプロフィットファンドの目的は、直接株式市場に投資するよりも低い変動率で、政府発行債や社債よりも高いリターンを長期的に提供することです。特に、現在のような不安定な市場下でも、継続的に上昇している点は、とても魅力的です。ウィズプロフィットファンドは、中長期の投資商品として設計されているため、5年以上の投資がお勧めです。その投資期間を通して、投資家は継続的な緩やかな上昇を享受することができます。

様々な資産に分散投資し、平均的に6%前後のリターンを計上

この緩やかな上昇曲線を描くウィズプロフィットファンドは、英国で発達しました。初めて発行された証券は1583年のエリザベス一世時代にまで遡り、それ以来、この投資コンセプトは英国の金融市場の最先端で発展してきました。現在のウィズプロフィットファンドの原型は150年前に完成したと言われています。そして、現在では、英国で運用されている資産の10% 以上を占める約7400億ドルが投資され、年金運用の40% 以上にあたる資産運用が行われています。そのため、留保部分の資金は、英国金融サービス庁の厳しい監視下におかれています。
典型的なウィズプロフィットファンドは、株式、債券、商業用不動産など様々な資産に分散投資するバランスファンドです。平均的に6%前後のリターンを計上しています。これまで、このファンドへの投資は、機関投資家だけに限られていました。しかし、今では複数の運用会社が、ウィズプロフィットファンドへの投資機会を個人投資家へも提供しています。
これらの運用会社が提供するファンドには、機関投資家用レバレッジを用いて、ウィズプロフィットファンドへ投資しているものもあります。特に最近では、金利が下がっているので、米ドルを3%で借入れ、6-7%の利益が上がれば、その差額で、魅力的な利益を生み出せます。このようにリスク管理可能な範囲のレバレッジを少しかけることで、変動率に左右されることなく、二桁のリターンを上げることもできるのです。
こういったファンドのパフォーマンスと堅実さには目を見張るものがあり、過去10年間を見てみると、年平均リターン10-12%と、大型ミューチュアルファンドよりも良いパフォーマンスを残してきました。また、運用会社の中には、原資産であるウィズプロフィットファンドの投資基軸通貨である米ドル、ユーロ、英国ポンドに加え、豪ドルや円建てのファンドクラスを設定しているところもあります。
典型的なウィズプロフィットファンドは、バランスファンドに似ていますが、大きな相違点は、スムース化です。現在、英国では数十本のウィズプロフィットファンドが運用されていますが、運用規模や耐力の違いから、運用会社によって、そのスムース化を図るスキームに差が見られます。トップレベルの会社では、大きな資本力を背景に、運用制限が少ない点が特徴的です。脆弱な会社では、運用制限が発生することも考えられるため、長期的に良いリターンを計上していくことは難しいでしょう。
例えば、大手プルデンシャルでは、アクティブ運用を重視し、非常に良いパフォーマンスを残していましたが、90年代後半には、アクティブ運用のままではリターンが減少することを事前に予期し、ウィズプロフィットファンドの資産を商業用不動産や政府発行債といったリスクの低い資産への比重を多くし、パフォーマンスを維持することに成功しています。

長年運用実績のあるウィズプロフィットファンドは、元本保証に近い

株式市場への直接投資とは異なり、留保部分からの配当の還元を上手く機能させた、長年に渡る運用実績のある会社のウィズプロフィットファンドは、元本保証に近い保証を提供しているとも言えるでしょう。過去のファンドパフォーマンスに基づく配当率を設定し、将来期待できるパフォーマンスを計算し、支払い能力維持に努めています。ここで重要なのは規模の問題ではなく、金融機関の信用力です。信用力は、スタンダード&プアーズなどの外部機関が与える格付けによって測ることができます。
勿論、ウィズプロフィットファンドにも銀行預金と比較すれば、リスクはありますが、リスクグレードとしては、債券よりも少し高く株式より低いという程度です。特に5年以上という期間でみれば、限られた変動率と低いリスクで、手堅くリターンをあげている効率の良い投資商品と言えるでしょう。不安定な市場状況下では、現金として銀行預金に預けておくことが得策のように思われるかもしれませんが、資産を増やしたいと考えている方は視点を変えてみてください。こうしている現在も、あなたの資産はインフレに侵食され、どんどんと減っているという事実に気づくでしょう。世界中が高いインフレに見舞われている現在では尚更です。
次回は、インフレの進行と共に注目されているコモディティについてお話したいと思います。