PDFファイルはこちらから

高騰する商品価格インフレからいかに資産を守る?

ガソリンスタンドやスーパーマーケットでの値上がりを目の当りにし、私たちは、ようやく世界中で何かが起きていると気づくようになりました。メディアでも原油価格の急騰が取り上げられるようになり、注目を集めています。このような状況はしばらく続くのでしょうか。それともこれまでの通常の状態に戻るのでしょうか。
世界数十億の人々が、原油価格と共に高騰する穀物価格の推移に危機感を抱いています。年初来、麦、コーン、米、大豆の全てが過去最高値を更新するレベルを記録しました。国際的な穀物価格の高騰を受け、貧困地域では飢餓の脅威から人々が暴動を起こし抗議する事態が多発しています。世界銀行の試算によると、食糧価格は過去3年間に約83%上昇しており、その結果、少なくとも1億人が栄養失調に苦しんでいるとみられています。日本では、世帯所得の約15% が食費に充てられていると言われていますが、新興国では、世帯所得の約55%が食費に費やされています。すなわち、パンや米などの主食価格が倍になると、生活の逼迫に直結してしまいます。この穀物価格の高騰には、不作や一部では天候変化、原油価格の上昇による輸送コスト高、インド、中国に代表される新興国諸国の急激な経済成長による穀物需要の激増など、様々な要因が重なり合っていると言われています。
近年、増産の一途を辿るバイオエタノール燃料。原料として使用されるコーン等の穀物生産需要の拡大が価格高騰を引き起こし、農地拡大による食糧貯蔵不足によって更に価格高騰が進むとの懸念が指摘されています。
貧しい人々にとっては、どのように食費を賄っていくかということが課題になりますが、富裕層にとっては、どのようにしてインフレから資産を守るかということが問題です。金融市場で資産形成するために、株式、債券のことだけ知っていれば良い時代は終わりました。世界経済のこの革命的な変化によって、私たちは、もはや、コモディティの存在を無視できなくなりました。
では、そもそもコモディティとは一体何なのでしょうか。世界中の誰もが生活する上で必要な現物資産です。日々過ごす中で、何をよく使うか考えてみてください。形は様々に変化していますが、その原料は、天然ガス、コーン、麦、綿、ウール、銅、金、銀、砂糖、コーヒーやココアなどが挙げられます。よく天然資源と見なされることもありますが、コモディティとは地球上の誰もが必要とするものです。そして、多くの投資家が認識するように、今日では天然資源の需要が世界的に高まっています。

コモディティ投資が簡単にできるようになった

しかし、金、銀、原油、砂糖といった天然資源への投資は、難しく、投資するには多額の投資資金が必要になると思い、しりごみする人が多いようです。確かに以前はその通りでしたが、現在は異なります。数年前に投資していれば、大きく利益を出していたことでしょう。現在では、誰もが簡単に少額からコモディティに投資できるようになりました。
これまで以上に天然資源への投資は容易になっているのです。
では、なぜ、今、コモディティに投資するべきなのでしょうか。主な理由は4点です。

  1. 供給が少なく、世界的に需要が高まっているということは、天然資源価格は上昇するということ。
  2. コモディティは、ポートフォリオの分散を強化し、リスクを低くし、リターンを高めることを可能とする。
  3. 経済低迷期、株式市場下落時には、現物資産を保持することで、資産保護機能が働く。
  4. タイミングが正しければ、平均的に、コモディティの上げ相場は約18年サイクルで回っているので、まだ余地がある。

供給量の低下と需要の高まりのため、多くのコモディティで歴史的な高値を記録しています。中国、インド、ブラジルなどの急速な経済発展に伴い、天然資源への世界的な需要が高まっているためです。例えば、中国は、世界で最も急激な経済成長を遂げており、世界をリードする銅、鉄鋼、原油等の消費国になっています。そして、重要なことは、世界には、需要に合致するだけの充分なコモディティの供給量がないということです。
供給量の低下は、数十年に渡る天然資源への過少投資の結果もたらされました。1980年から90年代の間、コモディティには必要最低限の投資しかされていませんでした。例えば、金鉱会社では、金属を生産、採掘する道具などの設備投資を怠ってきました。未加工金属を発見してから市場に出すまでに10年以上かかります。生産までに要する時間が短いコーヒーのような農産物でさえ、実際にコーヒー豆として出荷されるまでには数年かかります。コーヒーの木が成熟するには5年以上かかるからです。
この需要と供給のバランスが改善されるまでには、何年もかかることでしょう。
歴史的な低供給下において、天然資源の需要が世界的に高まる中、コモディティ市場に投資をすれば、価格上昇の恩恵を受けられるでしょう。

コモディティは歴史的に低リスクで高リターン

コモディティに投資することは、皆さんが想像しているほどリスクが高いものではありません。コモディティへ投資するよりも、株式や債券に投資する方が安全だと考えている投資家が多いことに驚かされます。歴史的に、コモディティは、株式よりも低いリスクで魅力的なリターンを上げてきました。エール大学国際金融センターの最近の興味深い研究によると、株式やコモディティに分散された投資ポートフォリオは、100%株式へ投資しているポートフォリオよりも、リスクが低下することが明らかになっています。
長期的には、ほとんどのコモディティは極めてしっかりとしたファンダメンタルズを持っています。早いペースで世界人口が増加し、インフラ整備が進んでいく中で、需要は確実に高まっていきますから、天然資源は大量に求め続けられていくでしょう。特に、アジアの発展はまさに始まったばかりです。
賢い資産配分プランニングには、よく分散されたポートフォリオを作成することが重要です。そうすれば、ポートフォリオの一部が大きく目減りしても、他の資産のパフォーマンスがカバーしてくれるでしょう。そのためには、異なった資産が異なった動きをすること、つまり相関性が低い資産へ分散投資しなくてはなりません。
一般的に、債券は株式との相関性が低いため、投資家は債券をポートフォリオに加えることを好みます。一方、コモディティ、特に商品先物は、株式や債券と反対の動きをしてきました。言い換えれば、株式と債券が南へ向っているときに、コモディティは北へ向うのです。コモディティは、唯一、債券と反対の相関関係にある資産クラスであり、分散投資における強力な道具になります。もっと上昇する可能性もありますが、同時に、下落する余地も多分に含む原油など、一つの品目に賭けるのではなく、バランスよく投資することが大事です。つまり、今日、現物資産コモディティに投資するということは、今後もコモディティ価格が上昇するという方向性に賭けるということではなく、投資商品の下落局面でのヘッジを強化し、資産を保全するために重要なのです。