リスクを正しく理解する
お金には様々なリスクがあります。今回はインフレリスクについてお話しします。
なかなか普段の生活からは馴染みが薄いインフレリスクですが甘く見てはいけません。じつは、現在の日本はこのリスクが非常に高い状態になっているのです。
デフレ下では、金利が「0%」のタンス預金でも実質高利回りになります。2003年の消費者物価指数(CPI)は、マイナス0.3%でしたが、この場合金利0.5%の定期預金の実質利回りは0.8%になります。しかし1%のインフレになっただけで、実質利回りはマイナスになってしまいます。1%そこそこの預貯金や国債を持ったまま「預貯金は元本割れしないから」と10年もほったらかしにしていたら、インフレの影響により「もの」の値段が上がってしまい、「実質マイナス運用」になってしまうのです。
物価上昇率より低い利回りで運用してはいけない!
簡単な例でお話ししましょう。昔に比べて物の値段が上がったものは沢山ありますね。例えば、ビールの大瓶はその昔(1975年当時)180円位でした。しかし現在は330円です。物の価格だけではなく国立大学の授業料、これも1975年当時 36,000円から現在はなんと560,000円となっています。同じ1万円でも、物価が上昇すれば買えるもの(購買力)は低下するということです。30年前に1万円で大瓶ビールが55本も買えたのに、現在では同じ1万円で30本しか買うことが出来ません。1万円は1万円なので、その価値は減らないように思われますが、その換金価値が減ることによって、お金自体の価値も目減りしていくのです。
UFJ総合研究所の中期経済予測は、2005~2008年度の消費者物価をマイナス0.5%、プラス0.4%、プラス2.1%、プラス0.7%と、預金金利を上回るような物価上昇率(インフレ率)を予測しています。
また、高度成長期からの円高によって世界での物価高騰の余波を退けてきた日本経済ですが、中国などから工業製品を輸入するようになってきました。現在の製品輸入率は65%を超えていますので、いったん円安になると世界の物価高騰の影響が家計に大きく跳ね返りやすくなっています。このまま日本政府の国債発行額が増し続けて、国際的に日本の信用度が落ちた場合、諸外国が保有の円を売りはじめ、急速に円安が進む事が可能性としてはあります。1ドル=1000円などということも決して冗談ではなくなる可能性があるのです。日本国自体が借金の棒引きを狙い、意図的にインフレを引き起こすことも決して無い可能性ではありません。
突発的なインフレリスクにも備える
世界の歴史を振り返ると、国家破綻等により国債が利払い停止などに陥ると、それを引き金に突発的なインフレが起こります。記憶に新しいところになると、1990年以降のロシア崩壊時には、国内物価が一気に2500倍にも上がりました。100円だった缶コーヒーが一気に25万円に跳ね上がるのだからたまりません。突発的なインフレが起こると、勿論人々の賃金等も上昇しますが、銀行預金や現金で多くの資産を保有している場合、多大なる被害を受けます。たとえ高い利回りで運用をしていたとしても国内運用ではこの突発的なインフレに対抗することは出来ません。外貨による分散管理・運用を行うことにより、危機を脱することが出来るのです。
低金利時代に、いかにして資産を守り将来の生活に備えることが出来るか?国際的な分散投資が不可欠となってきます。国内投資と海外投資。まだまだ日本では馴染みが薄い海外投資ですが、どのような違いがあるのでしょうか。次回は海外での資産運用について解説いたします。様々なタイプの運用手法・保有通貨を組み合わせることで、将来的な不安を少しでも軽減しながら資産運用を行って頂くことが重要です。
何もしなくても銀行預金は日々目減りをしていることをお忘れなく・・・。