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いま適正価格のコモディティ品目は何か?

安全なコモディティへの投資方法は、当然ですが、需要が高まり供給が減少している、まだ価格が高騰しバブル状態になっていないコモディティへ投資することです。最近では投機筋の資金流入もあり、多くのコモディティ価格が、バブル模様を呈し、需給関係に基づく現実的な価格から乖離しているようです。
急速に成長するバブル状態の中へ資金を投入することは、大きな利益を生み出せるでしょうが、バブルが弾けたらどうなるでしょうか。その苦い現実を受け止められる投資家は少ないでしょう。最近のベトナム市場が良い例です。2006年から2007年の間、同市場は活況に沸いていましたが、2008年には最高値から70% 近く下落しています。
では、現在、適正価格で投資する機会がコモディティ市場のどこにあるのでしょうか。非現実的なバブル状態になく、今後の成長余地がある、ソフトコモディティや世界の急成長地域の一種の不動産など、いくつかのコモディティ品目を見てみましょう。

農産物(穀物、繊維、食物関連)への投資

  • 人口増加による需要の高まり
  • 水不足による耕作地及び気候変動による収穫高の減少
  • 代替エネルギー、バイオ燃料原料としての穀物使用量の増加

畜産物への投資

  • 新興国の世帯収入の増加に伴う肉食嗜好の高まり
  • 食費、人件費、輸送費の増加による生産コストの増加
  • 中国の伝染病などによる劇的な豚の減少と、それに伴う価格上昇
  • 乳製品、卵など日常必需品や革製品等の二次製品の需要増加

代替エネルギーへの投資

  • 伝統的なエネルギー源価格の上昇が下支えとなり、代替エネルギーへのエネルギー移行はより魅力的、現実味を帯びてきている
  • 環境保護に対する国際的な危機感の高まり
  • 風力発電が現実的な代替電力供給として発達中
  • 代替エネルギー使用に対する税制的優遇措置が採択されるなど、政治的な影響の強まり

水資源への投資

  • 国連の試算では、2025年までに世界的な水不足によって、水は最も貴重な資源の一つになるとの見通しであり、清潔な水資源の確保は、世界経済にとって、非常に重要な課題
  • 水資源の減少と人口増加による需給逼迫の恐れ
  • 工業部門と農業部門で今後、水の争奪戦が加速する恐れ

未造成地への投資

  • 土地は限られている
  • 人口増加により、住宅用地、観光用地、農業用地の需要が増加
  • 未造成地ゆえに投資金額・管理コストを共に低く抑えることが可能

コモディティファンドへの投資でリスクを軽減

コモディティへ投資し、そのメリットを享受しつつ、リスクを最小限に抑えたいのならば、 コモディティファンドへの投資が有効的です。特定のコモディティ品目のインデックス、もしくは数品目のコモディティに投資をしているようなETF(上場投資信託)や、様々なコモディティファンドがあります。こういったファンドは、異なるコモディティが混ぜ合わさっているため、リスクが緩和されます。
しかしながら、大半のコモディティファンドがディレクショナル戦略(市場の方向性に賭ける手法)を用いているか、原油市場への投資比率が高いインデックスファンドです。私が執筆している現段階では、原油価格は1バレル137米ドルを記録しています。投機マネー流入の影響もあり、原油価格は今後も上昇し続けるかもしれませんが、大きく値を下げる危険性も多分に含んでいます。もし、1バレル60-80米ドルの水準まで落ちれば、下落リスクに対するヘッジをしていないコモディティファンドの多くが記録的な下落を経験することになるでしょう。このような買い持ちのみのコモディティファンドと異なり、上昇するコモディティ価格からの利益と同時に、下落するコモディティを空売りすることでも利益を上げる可能性を持っているのが、マネージド・フューチャーズです。
マネージド・フューチャーズ運用の強みは、株式や債券市場との低い相関性です。今後、相場が上昇するだろうと見込む時には、先物ポジションを買い、今後の下落が予測される時には、先物ポジションを売ることで、変動の少ない揉み合い時には、オプションや先物取引を駆使して、利益を上げようとします。つまり、市場が上昇していても、下落していても利益を出す可能があるということです。この可能性を「絶対的リターン」と表現することもあります。低い相関性と相俟って、マネージド・フューチャーズは、ポートフォリオにおける申し分のない分散ツールとなるでしょう。
マネージド・フューチャーズへの投資により、異なる経済状況においても利益を出せる可能性があることから、ポートフォリオ内のリスクを軽減し、リターンを強化すると同時に、簡単にグローバル分散投資が行えます。また、流動性に優れた上場先物・オプションを用いてレバレッジを効かした大量売買を行うため、取引コストが安くすむという利点もあります。あるマネージド・フューチャーズ・ファンドは、100を超える品目を24時間体制で監視し、世界の140以上の市場で取引を執行しています。

マネージド・フューチャーズはトレーダーの手腕を見極めて

マネージド・フューチャーズは、従来の投資商品のように、投資対象の長期的な成長によるリターンだけを享受するものではない為、巧みな技術・ストラテジーが必要とされる投資商品です。それ故に、トレーダーの手腕が問われます。近年、このトレーダーの動向が瞬間的な市場価格変動の要因であると指摘されてきました。市場関係者は、投資家がベンチマークとして利用できるように、マネージド・フューチャーズ・インデックスを作成しました。マネージド・フューチャーズは、各々のマネージャーによって様々な投資手法があり、リターンも大きく異なるため、投資家は、このようなインデックスを参考にしながら、注意深くファンドを選定する必要があります。
歴史的に、マネージド・フューチャーズは、下げ相場や金融危機時に本領を発揮してきました。CSFBマネージド・フューチャーズ・インデックスを見てみると、市場に歪みが生じたときほど、非常に良いパフォーマンスを記録しています。1994年メキシコ通貨危機、1998年ロシア財政危機とLTCMの崩壊、2000年―2002年のITバブル崩壊、2001年9月11日の米国同時多発テロ、このような時期にS&P500インデックスに比べ、9%以上パフォーマンスが高かったのです。
世界に目を向けると、10年以上のトラックレコードを保有し、年平均リターン15%を超え、許容範囲内の変動率を誇る傑出したマネージド・フューチャーズ・ファンドがいくつか存在します。マネージド・フューチャーズのようなヘッジファンドは一般の投資家にはリスクが高すぎると誤解されている方もいらっしゃいますが、ヘッジファンドやマネージド・フューチャーズ・ファンドは無数にある為、一概に一般化するのは安易な考えと言えるでしょう。ハイリスク・ハイリターンの積極的な運用をするものや、保守的なものからミドルリスクのものまで個々のファンドによって異なります。
このようなマネージド・フューチャーズ・ファンドやコモディティファンドをポートフォリオに組み込むことで、包括的なポートフォリオのリターンを強化し変動率を抑えた多くの投資家に適したポートフォリオを作成できることは間違いありません。