海外資産運用術① PBか、PPBか

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ここ数年、日本では「フィナンシャルプランニング」や「投資」が脚光を浴びています。金融不安の高まりから、ゼロ金利政策が続けられた結果、資産運用にこれまで無関心だった日本人も、自己の資産形成と運用について積極的に考えるようになったのです。海外の大手金融機関が、高格付けで健全な財務を維持しながら、高い利率を提供しているという情報がメディアを通じ流れてきます。しかし、昨今のインターネットの普及に伴い、一部では情報の供給過多に陥っている可能性も否めません。
実際に海外に目を向けるとあまりにも多くの情報が溢れていて戸惑ってしまう、と言う声をよく耳にします。更に、数え切れない運用商品の中で、自分に適した商品は何なのだろうかという壁にもぶつかります。いったいどのようにして安全な金融機関を選択すればよいのでしょうか。実は、これらの問題を抱えるのは日本人だけではなく、世界中の富裕層に共通した問題なのです。欧米では、独立系のインターナショナル・フィナンシャル・コンサルタントがこれらの問題の解決に力を発揮します。フィナンシャル・コンサルタントは、個人個人独特のニーズに合った資産管理・運用手法を、グローバルな視点から選択し、顧客の利益を目的とした運用コンサルティングを行っているのです。

日本では保全を、欧米では運用を中心に考えるファイナンシャル・コンサルタント

しかし日本では、大半のフィナンシャル・プランナーが、専ら資産の保全という側面に注目するために、往々にして遺産相続に重点を置いた保険商品の紹介をしがちです。勿論、欧米のフィナンシャル・コンサルタントにとっても、保全は重要な課題となっています。しかしれ以上に重要なのは先ず、顧客が希望通りの人生を全うするために必要且つ十分な資産を準備するには、どれだけの余剰資金を生み出す必要があるのか、ということなのです。そのうえで安全性を重視した投資のコンサルティングを行っているのです。従って、欧米のフィナンシャル・コンサルタントの仕事とは『人生を楽しみながら送るために必要なマネープランニングのお手伝いをする』ことなのです。
ご存知のように、プライベートバンクは超富裕層向けにハイレベルなサービスを展開しています。銀行、証券の役割等を全て一つ口座で包括的にカバーし、資産継承、離婚や死亡した際の資産譲渡に関し、遺言書の作成、管理などの相続対策、節税のための税金対策も踏まえた総合的なサービスを提供しています。名高いプライベートバンクの多くが外国に店舗を構えていますが、通常、そのほとんどが世界の低税率地域に拠点を持っています。こうしてプライベートバンクは、その運用商品の種類の豊富さ、高い利回り、資産保全、秘匿性、租税回避に惹かれた世界中の超富裕層に支持されているのです。
しかし、一般企業と同様に、プライベートバンクにもまた各行ごとの営業方針があります。自行の営業方針を優先した営業を行うことが無いとは言えません。自行にとって利益率の高い、自社運用の投資商品を推奨する場合もあるのです。こうしたサービスを受ける顧客が、「この担当者が勧める商品は、私にとって本当に最適なものなのだろうか。それとも・・・」という疑問を抱くことがあるかもしれません。こういったことから、顧客の利益を第一に考える担当者ほどプライベートバンクを去ってしまう、というケースが後を絶たないのです。

プライベートバンクと同様のサービスを期待できるPPB

コストの面からプライベートバンクは、決して効率がいいとは言えません。プライベートバンクの手数料は、預入資産額の2~3%が主流となっています。例えば500万ドルで開設したポートフォリオの場合、初年度の手数料を2%とすると年間10万ドルになります。ある期間の運用の結果、評価額が2倍の1千万ドルになったとすると、年間手数料も2倍の20万ドルに上ります。さらに投資の際にはファンドの購入手数料がかかってきます。新しくファンドを購入するごとに、口座保持手数料の他に、別途購入手数料を、銀行に支払うことになるのです。
では、プライベートバンクに代わるものは無いのでしょうか。プライベートバンクのサービスの仕組みは、資産を安全に保管し、適切に事務処理を遂行するカストディ口座(資産保管口座)と、リレーションシップ・マネージャーと呼ばれる、運用コンサルティング行う顧客担当者とで成り立っています。
実は、プライベートバンクよりも低いコストで、全く同じ資産管理機能を有する口座があるのです。専任の担当者が運用コンサルティングを行い、カストディ口座に証券等を保管していく点で、その仕組みも同じです。プライベートバンクだけが、このカストディ口座を提供しているわけではないのです。大手生命保険会社や、世界的規模の投資会社なども、プライベートバンクより低コストでカストディ口座を提供しているのです。
質の高いサービスを期待できるプライベートバンクの利用には、それなりのコストは覚悟しなければなりません。また、カストディ口座を開設できるのは、最低預入資金1百万ドル以上が主流です。しかし、これまで述べてきたPPB(プライベート・ポートフォリオ・ボンド)というカストディ口座を利用することで、費用が半分かそれ以下になることもあるのです。これら専任の担当者のコンサルティングを仰ぎながら運用できる機能を持ったカストディ口座か、プライベートバンクか,という選択肢をどのように使い分けていけば良いのか、次回から更に詳しく説明していくことにします。