何か大きな病気や出産などで、医療費がかさんだときに忘れずに使いたい制度が、医療費控除。
医療費控除とは、所得税や住民税を算出するときに、所得からかかった医療費を差し引くことができる制度で、医療費控除の対象となる医療費には、治療費や手術費だけでなく、薬代も含まれます。
医療費が10万円を超えたら
医療費控除は、1年間に支払った医療費が一定額を超えたときに所得控除を受けることができる制度。所得控除とは、税金を計算するときの基準となる「課税所得」にその金額を含めない、ということです。例えば、課税所得が500万円の人が、1年間に医療費が100万円かかった場合、課税所得が400万円になる、ということで、所得が少なければ、税金も安くなるということになります。(実際には、一定の計算によって課税所得が計算されるため、医療費が100万円かかったからといって、課税所得がそのまま100万円減らされるわけではありません。)
医療費控除は、医療費の自己負担額が年間で10万円を超えた場合に、確定申告によって申請することにより受けることができます。
医療費に含まれるもの
医療費控除の対象となる医療費は、通院・入院、出産、歯科治療によってかかった費用となります。このほか、治療を目的とした医薬品も含まれます。
診察費、治療費、手術費、入院時に病院から提供される食事代、通院・入退院時の交通費のほか、あん摩マッサージ指圧師やはり師による施術費も、治療が目的の場合は対象となります。妊婦の方は、妊婦検診費、切迫早産等の入院費、公共交通機関を利用できない場合のタクシー
代などのほか、不妊治療も対象となります。歯科治療では、虫歯治療、親知らずの抜歯のほか、歯列矯正も対象となります。
保険対象外の妊婦検診費や不妊治療、また、歯列矯正などは一般的に高額となりますので、医療費控除の対象となっているのは助かりますよね。
医療費に含まれないもの
マッサージでも、癒しを目的としたリラクゼーションマッサージのようなものは含まれません。歯列矯正も、見た目をよくすることを目的とした審美矯正は含まれません。歯石除去も医療費とはみなされません。
医療費控除を受けるための確定申告で、1年間に支払った医療費を集計しなければなりませんので、明細書、領収書はきちんと保管しておきましょう。