投資の基礎知識

どうして日経平均が1日で600円以上も暴落したのか?

なぜ大きく株価が下落したのか?

週明け3月25日の日経平均ですがかなり大きく下げました。
1日で650円程度の下落です。日経平均株価はアメリカの市場をそのまま受ける流れとなっていますが
今回もNYダウが先週末大きく下げたのを受けてそのまま影響した形です。

ニュースや新聞を見ると「世界の景気減速懸念が広がり、売りが殺到した」とあるんですが
よく分かりませんよね 笑

ここ数日で景気が突然変わったなんて感じはしませんし・・・。
もう少し説明を読んでみると

「短期金利が長期金利を上回る逆イールド現象が起こったため」

とあります。これでもよく分かりませんよね。どういうことなのか考えてみましょう。

逆イールドが発生するとなぜ株価が下がる?

例えば借金をしたときに、長期間と短期間ではどちらが金利が高くなるでしょうか?
これは長期です。下のように考えるとシンプルになると思います。

長期間お金を貸す→ 全額回収できない恐れがある → 利息が高くなる
短期間お金を貸す→ 回収しやすい        → 利息が安くなる

一般的に短期金利は中央銀行の政策金利の影響をうけ、長期金利は投資家の将来の景気の見方
反映されるといわれています。
もっと分かりやすいように銀行の視点で説明してみます。
短期金利は預金の金利、長期金利は住宅ローンなどの貸出金利の指標となると
考えると分かりやすいでしょう。

図に描くとこのようになります。今は低金利で数字が小さすぎますから 笑
バブル期の場合の金利で例を出しています。
当時は住宅ローンで8%程度、銀行の普通預金で2%、定期預金で6%でした。

このように皆さんから預かったお金を、ローンとして貸し出します。
そこには金利差がありますので銀行としては 金利差=利ざや で利益が出るので
お金を貸し出せるわけです。
この図の場合ですと2%ですね。

しかしこの金利差がゼロになる、あるいは逆転するとどうなるか?
銀行はお金を貸し出さなくなりますよね。金利の支払い分の割合が大きくなってしまうからです。
いわゆる貸し渋りです。

となるとお金が出回りませんから、企業の倒産や失業者の増加につながってくるといわれています。
「風が吹けば桶屋が儲かる」みたいな感じですね 笑。
逆イールドとは、このように短期金利と長期金利の金利が逆転することを言うのです。

なぜアメリカで株価が下落した?

繰り返しになりますが今回の日経平均の暴落はアメリカ市場の流れでそのまま暴落しています。
なぜアメリカで逆イールドになったのでしょうか。

その原因は、アメリカの政策金利を決定するFRP=連邦準備制度理事会が
『アメリカ経済の成長が鈍っているので、2019年は1回も利上げを行わず景気に配慮していく』
表明したことが大きな原因です。

これまでFRBは、好調な経済状況を背景に利上げ路線を続けてきたのですが、
それが大きな転換点を迎えたことになります。
(トランプ大統領も利上げ路線を非難していましたね・・・)

政策金利が下がったわけではないので、短期金利の水準は変わりませんでしたが、
市場関係者や投資家が「景気後退か?」という思いを強めたため起こったのです。
一般的に景気と金利の関係は下のようになります。

好景気→ 金利が上がる    景気後退 → 金利が下がる

FRBが金利を上げない→景気が下がるのか?→ 投資家が不安となる

こういう心理になるとどういうことが起こるか?
それまで株式に投資していた投資家たちが、不安感から株を売却し、もっと安全なところへ
資金を移動しました。株式からのマネー逃避が起こったのです。

そしてその資金は債券、アメリカ国債などの買い付けに回されました。短期物の国債に集中して
買いが入ったのですね。そのため、長期金利の指標となるアメリカ国債10年物の金利が
3ヶ月物を下回るということにつながりました。
そこから、投資家の動揺が大きくなり、加速的に株価が暴落したということです。

過去はどうだったのか?

過去を見てみましょう。

米国債のイールドカーブが逆イールド化した例は1960年以来で9回あるが
そのうちの7回はその後、景気後退に陥っている。
※ウォールストリートジャーナルから

特に10年物の利回りが2年物より低くなると「本物」とされ、最近では2005年末から2007年半ばに
かけて頻発した後、
2008年9月のリーマン・ショックが起こっています。
(景気後退期は2008年1月~2009年6月)

ITバブルが崩壊した2001年4月~11月、もう少し古い話になると
米国の不動産バブル崩壊(1990年8月~1991年3月)いずれも同様の現象が起こっています。
つまり米国では逆イールドが発生してから1~2年後に景気後退に入るケースが多いのです。

今後はどうなる?

今のところ専門家の間でも結論は出ていません。それぐらい今のグローバル経済はこんな単純では
ないということです。
特に株式市場は機関投資家やファンド会社などのプロの投資家の資金で
左右されてしまうので、私たちのような一般投資家にはなかなか分からない部分もあります。

いずれにしても株などに投資をしている人は注意深く見ていく必要がありますね。
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