海外資産運用術 – (1の1)
資産自己防衛時代の到来
今となっては懐かしい、「100年安心年金」。100年どころか、もう数年後には制度自体が継続困難とみられ、早くも受給年齢引き上げが議論されています。こんな状態で私たちは安定した、安心できる老後を迎えることが出来るのでしょうか?
今 回から始まる「海外資産運用術」コラムでは、海外における資産運用の現場をグローバルな視点で捉え、フィナンシャル・コンサルタントという立場から皆様に その新たな資産運用のステージを紹介していきます。第一回目は今、日本が直面する大きな問題、財政赤字の拡大と人口構造の変化について、そして私達、フィ ナンシャル・コンサルタントの役割についてです。
今年度、遂に国債残高が900兆円に達しようとしています。その利息は年間約23兆円ずつ (1秒毎に73万円)というとてつもないスピードで今まさに膨張し続けています。2015年までの間に、いわゆる「団塊の世代」といわれる層が全て65歳 を迎えます。会社員であれば、その時点からキャッシュフローが様変わりして、収入は原則年金のみとなり、基本的には預金の取り崩しが始まります。若年層の 家計貯蓄率は過去最低で、今後「団塊の世代」の預金引き出しが加速すれば、日本の家計貯蓄率は現在の0%(20年前は16%)からマイナスに転じる事が確 実視されています。
ジャパンシンドローム 毎年地方都市1つが消滅する未知の領域へ
労働 人口の大幅減少が経済に与える影響は大きく、同時に少子高齢化によって日本の人口構造ピラミッドの歪みは10年後、更に20年後には加速度的に大きくなり ます。2035年には総人口に占める65歳以上の割合が35%に達する予定です。 タックスペイヤーである労働人口の割合が減少するだけでなく、人口自体が減っていくことにも着目しなければなりません。総人口に占める年小人口(0~14 歳)の割合で日本は世界最低です。勿論、総人口に占める65歳以上人口率も世界トップです。高齢化も少子化も事実上世界トップ(2冠?)の日本の行く末を イギリスの経済誌「エコノミスト」が「ジャパンシンドローム」と名づけ取り上げ、本格的に研究対象としていることはNHKでも先日特集で取り上げられまし た。欧米各国からは研究者が数十名単位で日本に送り込まれ、自国将来の為の研究が既に始まっています。日本は2005年をターニングポイントとして総人口 の減少が始まっています。今後日本は毎年、地方都市の人口に匹敵する約30万人の人口減少という未知の領域に突入しようとしています。
海外資産運用術 – (1の2)
新規赤字国債発行の限界
政府は現在の危機的状態を回避しようと、相続税控除額の引き下げ、年金受給年齢の引き上げ、消費税率の引き上げなど、財源確保(今更ながら)に乗り出していますが「焼け石に水」状態です。経済を牽引すべき労働人口が年間100万人以上減少している今、政府は個人ならびに企業からいかにして税金を徴収し財源とするかを模索しています。これまで銀行、郵貯、保険会社は預金者、契約者である皆さんから預かったお金のその大半を国債購入に充て運用してきました。しかし、先に触れたように、預金の流出が始まった今、更なる国債の買い増しは企業のバランスシートを圧迫しかねない状態までその保有率が高まっています。更に2011年度も44兆円程度の新規国債(赤字)発行が予想されており、その残高が個人資産(ローンなどの負債を差し引いた純資産額)約1,000兆円を上回る、逆転現象が数年後には確実視されています。
溢れる情報をどう整理するか
ここ数年、日本では「フィナンシャルプランニング」や各種投資が脚光を浴びています。世界的な金融不安と、慢性的な財政赤字が続く国に対する危機感によって、これまで資産運用に無関心だった日本人も、自己の資産形成と運用について積極的に考えるようになったようです。しかし、昨今のインターネットの普及に伴い、一部では情報の供給過多に陥っている可能性も否めません。 実際に海外に目を向けるとあまりにも多くの情報が溢れていて戸惑ってします、という声をよく耳にします。更に数え切れない運用商品の中で、自分に適した商品は何なのだろうかという壁にもぶつかります。いったいどのようにして安全な金融機関と、自分に適した運用方法を見出せばいいのでしょうか。実はこれらの問題を抱えるのは日本人だけではなく、世界中の富裕層に共通した問題なのです。欧米では、独立系のインターナショナル・フィナンシャル・コンサルタントがこれらの問題解決に力を発揮します。フィナンシャル・コンサルタントは、個人個人独特のニーズに合った資産管理・運用手法を、グローバルな視点から選択し、顧客の利益を目的とした運用アドバイスを行っているのです。
日本では保全を、欧米では運用を中心に考える
しかし日本では大半のフィナンシャル・プランナーが、専ら資産の保全という側面に注目する為に、往々にして遺産相続に重点を置いた保険商品などの紹介をしがちです。勿論、欧米のフィナンシャル・コンサルタントにとっても、保全は重要な課題となっています。しかしそれ以上に重要なのは先ず、顧客が希望通りの人生を全うするために必要且つ十分な資産を準備するには、どれだけの余剰資金を生み出す必要があるのか、ということなのです。そのうえで安全性を重視した運用コンサルティングを行っているのです。従って「人生を楽しみながら送るために必要なマネープランニングのお手伝いをする」ということがフィナンシャル・コンサルタントの重要な使命となります。
海外資産運用術-2
海外資産運用術 – (2の1)
国税の大失態と海外(国際)税務について
昨年2月18日に本邦最高裁において、「武富士 贈与税事件」に対する結審が行われました。
この事件は「武富士」元会長夫妻からオランダ企業株を贈与された長男の元専務に対する約1330億円の追徴課税処分に対して、その取り消しの申し立てを行っていた一件です。
結果は国税側敗訴。約400億円の還付加算金を上乗せして、全て返還されます。この10年近くに渡る長き裁判と、結局400億円もの血税が使われたにもかかわらず、国税担当者からは反省の言葉も無く、「やりきれない気持ち」を口にしているというから話になりません。全ては最高裁の判決文で言われているように、「香港滞在が課税回避目的でも、生活の本拠が香港にあったことは否定できない。こうした課税回避が許されないなら、立法で対処すべきだ」と至極明解です。
海外での資産運用で気をつけないといけないポイントの一つに税金の問題があります。
例えば日本に住む両親から、海外に住む子供に対して、海外資産の贈与・相続が行われれば現法上日本の法律が適用され一定金額を超えるものに対しては課税されます。海外に5年以上住む居住者が、同じく海外に5年以上住む居住者へ海外資産の贈与・相続を行った場合は日本の法律は適用されません。2000年の法改正前は、国内財産のみが非居住者への課税対象とされていましたが、課税逃れ目的で資産を海外に移し、被贈与人を一時的に海外へ住所を変えて贈与を行うケースが多発した為に、両者とも5年以上海外在住が条件となったという経緯があります。
海外資産運用術 – (2の2)
プライベート・バンク
お客様からスイスのプライベートバンクについてご質問いただくことが度々あります。
SPBA(スイス・プライベートバンカーズ協会)に登録されている銀行は現在13銀行です。この13銀行には日本でよく「プライベートバンク」と称されることがあるクレディ・スイス、UBS、HSBCなどは含まれません。スイス・プライベートバンクの13銀行には、ピクテ、ミラボー、ロンバー・オディエ・ダリエ・ヘンチなど、普段は殆ど目にすることが無い名が連なります。プライベートバンキングとプライベート・バンクは正式には異なるもので、クレディ・スイスやUBS銀行などはプライベート・バンキング業務を提供している大手商業銀行で、スイスのプライベートバンクとは、無限責任をもつ個人銀行家 (プライベートバンカー) がパートナーとして経営している銀行を指します。
番号口座(ナンバーズ・アカウント)に象徴されるように、口座保有顧客に関する情報は非常に厳格に管理され、匿名性、守秘義務の高さから世界中の王侯貴族や富豪から長年愛されてきた歴史があります。しかし一方で、古くはロシア ロマノフ王朝の隠し財産を巡る憶測や、政権崩壊後に明らかになったフィリピン マルコス前大統領の隠し財産、更には漫画の世界でもゴルゴ13やルパン3世などで頻繁にスイス プライベートバンクの名を目にするように、非合法活動や犯罪を含む不法・不正な報酬の受け取りやその蓄財・脱税にも最適であり、世界各国の独裁者や犯罪者が利用していると言われる負の側面も兼ね備えています。
莫大な資産保有と資産継承を何代にも渡り行うようなニーズがあり、世界中に資産を分散保有しているようなケースを除き、プライベートバンクは万人向きとは言えません。銀行毎にその規定は異なりますが、最低でも預入資産で10億円程度がないとその敷居はまたげないと考えたほうが良さそうです。プライベートバンクが提供する金融サービスの一部で銀行、証券会社などの役割を包括的にカバーし、資産継承に向けた信託財産化などを行う総合口座の役割があります。タックスヘイブン(租税回避地域、低税率地域)には、このプライベート・バンクと同じ分別管理型の総合口座を個人投資家に提供している運用管理会社が多数あります。世界中の投資商品を選択肢にブティックタイプにポートフォリオを設計でき、且つ質の高いサービスと資産保全にも適した管理型口座がPPB口座(プライベート・ポートフォリオ・ボンド)です。近年、日本国内の投資商品では十分な運用と資産保全ができないと見切りをつけた個人投資家の間では飛躍的に知名度が高くなり、その利用者も急増しています。
オフショアPPB 海外資産運用術-3
海外資産運用術 – (3の1)
PPBとラップ口座
数年前から国内大手証券会社などでも取り扱いを始めた「ラップ口座」は、様々なファンドを中心とした金融商品をお客さまのニーズに合わせて組み合わせ、オーダーメイド型の運用設計を売りにしています。しかし現状は、選択可能な商品ラインアップが日本国内で登録されている商品だけであることは当然ですが、口座保有をしている証券会社の「専売」商品によってお客様のポートフォリオが構成されることが多いようです。
一方で、オフショアPPBでは世界中の金融商品から投資対象を選択することが可能です。オフショア地域で運用される世界トップパフォーマンスのミューチュアルファンドやヘッジファンド、個人投資家が通常投資することが出来ない機関投資家向けのファンドや、世界主要証券取引所の上場個別銘柄株式やETF、さらには海外銀行の定期預金などへも投資が可能です。勿論異なる通貨(マルチカレンシー)を一元的に管理保有することが出来ます。通常PPBを管理する会社は自社の運用商品を持っていないために、投資ポートフォリオは投資家毎の投資経験や運用目的、必要とされる流動性や、リスクの許容度などを加味した上で決定されます。10~40本程度の極限られた国内ファンドで構成するラップ口座とは次元が異なります。
世代を超える資産運用
オフショアPPBの多くは、一世代に限った投資というよりは世代を超えた資産保全や運用を想定しています。親から子へ、そして孫の代へ資産継承を行う為の様々な機能がPPBには備わっています。最高で4名の共同名義人の設定が可能で、口座保有期間は短くても99年間または名義人を入れ替えることで半永久的に保有することが可能です。より資産保全を確かなものにする為に、PPBを低税率地域(タックスヘイブン)において信託財産化することも可能です。
投資家毎に異なるニーズに適した投資ポートフォリオの作成と運用手法の決定、更には資産継承などに関する長期のプランニングを行う際に重要となってくるのがオフショア投資に精通したフィナンシャルコンサルタントの存在です。
インフレと資産運用 海外資産運用術-4
海外資産運用術-(4の1)
高騰し続けるコモディティ価格
世界数十億の人々が、原油価格と共に高騰する穀物価格の推移に危機感を抱いています。国際的な穀物価格の高騰を受け、貧困地域では飢餓の脅威から人々が暴動を起こし抗議する事態が多発しています。日本では、世帯所得の約15% が食費に充てられていると言われていますが、新興国では、世帯所得の50%以上が食費に費やされています。すなわち、パンや米などの主食価格が倍になると、生活の逼迫に直結してしまいます。この穀物価格の高騰には、不作や一部では天候変化、原油価格の上昇による輸送コスト高、インド、中国に代表される新興国諸国の急激な経済成長による穀物需要の激増など、様々な要因が重なり合っていると言われています。そして近年では先進国の低金利政策によってもたらされている投機マネーの問題も大きな要因として考えられています。
インフレリスクに備える
なかなか普段の生活からは馴染みが薄いインフレリスクですが甘く見てはいけません。デフレ下では、金利が「0%」のタンス預金でも実質高利回りになります。しかし1%のインフレになっただけで、実質利回りはマイナスになってしまいます。超低利回りの預貯金や国債を持ったまま「預貯金は元本割れしないから」と10年もほったらかしにしていたら、インフレの影響により「もの」の値段が上がってしまい、「実質マイナス運用」になってしまうのです。
海外資産運用術-(4の2)
物価上昇率より低い利回りで運用してはいけない!
簡単な例でお話ししましょう。昔に比べて物の値段が上がったものは沢山ありますね。例えば、ビールの大瓶はその昔(1975年当時)180円位でした。しかし現在は330円位です。物の価格だけではなく国立大学の授業料、これも1975年当時 36,000円から現在はなんと560,000円となっています。同じ1万円でも、物価が上昇すれば買えるもの(購買力)は低下するということです。30年前に1万円で大瓶ビールが55本も買えたのに、現在では同じ1万円で30本しか買うことが出来ません。1万円は1万円なので、その価値は減らないように思われますが、その換金価値が減ることによって、お金自体の価値も目減りしていくのです。
高度成長期からの円高によって世界での物価高騰の余波を退けてきた日本経済ですが、中国などから工業製品を輸入するようになってきました。現在の製品輸入率は65%を超えていますので、いったん円安になると世界の物価高騰の影響が家計に大きく跳ね返りやすくなっています。このまま日本政府の国債発行額が増し続けて、国際的に日本の信用度が落ちた場合、諸外国が保有の円を売りはじめ、急速に円安が進む事が可能性としてはあります。
突発的なインフレリスクにも備える
世界の歴史を振り返ると、国家破綻等により国債が利払い停止などに陥ると、それを引き金に突発的なインフレが起こります。記憶に新しいところになると、1990年以降のロシア崩壊時には、国内物価が一気に2500倍にも上がりました。100円だった缶コーヒーが一気に25万円に跳ね上がるのだからたまりません。突発的なインフレが起こると、勿論人々の賃金等も上昇しますが、銀行預金や現金で多くの資産を保有している場合、多大なる被害を受けます。たとえ高い利回りで運用をしていたとしても国内運用ではこの突発的なインフレに対抗することは出来ません。外貨による分散管理・運用を行うことにより、危機を脱することが出来るのです。
低金利時代に、いかにして資産を守り将来の生活に備えることが出来るか?国際的な分散投資が不可欠となってきます。国内投資と海外投資。まだまだ日本では馴染みが薄い海外投資ですが、様々なタイプの運用手法・保有通貨を組み合わせることで、将来的な不安を少しでも軽減しながら資産運用を行って頂くことが重要です。
老後に1億円 海外資産運用術-5
海外資産運用術-(5の1)
あなたのライフプランは?
人生における三大イベントとしてよく挙げられるのが、
結婚 ・ 出産 育児 ・ 老後 です。
あなたにとってこれら三大イベントはどのような位置づけになりますか? もう既に子供も自立して、老後(リタイヤ後)の生活に向けて動き出している方もいれば、まだ三大イベントの全てを残している方もいるかもしれません。日本人のライフスタイルも大きく様変わりして、一生独身、または子供を持たない家庭も増えてきています。しかし、全ての方に共通しているのは、老後は必ずやってくるということです。どの国や地域で、どのようなスタイルで老後の生活を送りたいか、送るかは人それぞれに異なります。生活水準がそれぞれ異なるために、一概には言えませんが、老後の生活は予想以上にお金が掛かるもののようです。
老後生活には約一億一千万円が必要
驚かれる方もいるかもしれませんが、これが現状・現実です。
各種調査結果によると、リタイヤメント後のシルバー世代が一ヶ月に支出する平均的な金額は27から28万円だそうです。ゆとりのある生活を送るためには38万円が必要という結果もあります。60歳を定年退職とした場合に、男性の余命期間を21年と仮定して、妻の寡婦期間を考慮に入れると、総額で一億一千万円が、ゆとりある老後の生活を送るのに必要な金額となります。これは物価の上昇などは一切加味していません。
老後の所得保障は、公的年金(企業年金含)、退職一時金、個人年金・預貯金(貯蓄)が3本柱になります。サラリーマンを例にとると、平成十三年度から部分年金が導入された影響で、年代によっては60~64歳までは特別支給の老齢厚生年金の約6割支給の部分年金が支給され、満額の老齢厚生年金は、65歳からしかもらえません。
仮に、公的年金が、64歳まで夫の部分年金、65歳以降夫婦が平均支給年金額を受給し、寡婦期間に妻が遺族年金を受給したとすると、ゆとりある生活に必要な資金一億一千万円までには、約五千万円足りないことになります。
重要な前提事項である、公的年金が将来的に今の制度を維持して、支払いが行われるか否かは大変疑問ですが、その議論は別としましょう。
海外資産運用術-(5の2)
不足資金+余剰資金をいかに形成するか
資産運用は、ライフプランが基本になります。家計資産は、日常の支出にはじまり、今後予定されている住宅購入や子どもの教育資金などがあり、決して収益性だけを追求するわけではないということです。
運用に対する明確な目標があるか、どのくらいの期間運用ができるのか、そしてどのくらいの資金が使えるのかなどってきます。
資 産運用にあたっては、ライフプランを踏まえた長期的な視野に基づいた商品の組合せ、すなわちポートフォリオ運用が最も大切です。ポートフォリオとは、自分 自身の考え方に沿った形で、効率的に金融資産を増やすため、異なるタイプの金融商品を組み合わせることで、分散投資の効果を発揮し、リスクを最小限に抑え 全体として運用の効率性を図ることを目指すことです。
なお、ライフプランの変化、経済・金融動向、税制の改正、さらには新しい金融商品の登場と情勢は時々刻々変わりますので、見直しをすることが不可欠です。特に、市場原理に基づいて市場が変化するので、金融の動向に注目する必要があります。
低 金利時代に、いかにして資産を守り将来の生活に備えることが出来るか?国際的な分散投資が不可欠となってきます。国内投資と海外投資。まだまだ日本では馴 染みが薄い海外投資ですが、様々なタイプの運用手法・保有通貨を組み合わせることで、将来的な不安を少しでも軽減しながら資産運用を行って頂くことが重要 です。
投資の遅延コスト 海外資産運用術-6
海外資産運用術-(6の1)
お金にお金を生んでもらう
マーケットの勝ち組になる
日本国民の一世帯あたりのな年間所得をご存知でしょうか?厚生労働省の発表によると、一世帯あたりの年間平均所得は547万円です。(平成20年)あるアンケート結果では、全体の半数以上の世帯で「生活が苦しい」という回答を得たとあります。問題は所得格差が広がっていることにあります。極端な例ですが、10人中9人が年間所得312万円で、残りの1人が3000万円だとしても、平均所得は580万円になってしまうのです。
平均所得に対し、平均支出はどの程度を占めるのでしょうか。日本人は貯金が好き!等と言われますが、意外にも平均的な年間支出は520万円にもなり、平均所得と比べても大きな差が無いことに気がつきます。十分な蓄えも無く、更には将来的に大変不透明な年金の支払いなど問題は山積みです。
自分に残された時間はどれだけか?
皆さん、「遅延コスト」という言葉を聞いたことがありますでしょうか。資産管理・運用の世界においては、将来的な目標達成金額を得るための資産運用を行った際に、開始時期を遅らせることによって増加する初期投資額やリスクの増大を表します。例えば、55歳の時点で1億円の金融資産を築こうとした場合、これに向けた資産運用を30歳の時(運用期間25年)に始めるのと、40歳(運用期間10年)で始めるのとでは、リスクも当然異なりますし、初期投資金額も勿論多くなければなりません。
毎月積立型の資産運用で見てみましょう。
年換算利回りを5%と設定した場合、55歳で100万ドルをゴールとすると、30歳から開始すれば毎月の積立額は1800ドル程ですが、45歳から始めるとすると、毎月6800ドルにもなります。お金があっても、なくても老後の生活は待ってくれません。より早い時期から老後への備えをすることが重要になるのです。負担の少ない金額で、目標金額達成に向け確実な方法で資産管理・運用を行うことが大切です。
海外資産運用術-(6の2)
全て自力で資産運用はできない
「株で○億円!」 「儲かる!デイトレードの必勝法!」
などという類の本が書店に沢山並んでいます。パソコンや最近では携帯電話での売買注文を行える会社も増えて、ますます個人のマーケット参加者が増えてきています。通説ではマーケット参加者の内、僅か5~10%が勝ち組と言われ、残りの90%以上が負け組みの世界です。この僅かな勝ち組を夢見て、日々多くの個人トレーダーがマーケットに参加をするわけですが、勝ち組のほとんどは元証券マンだったりして、本当の意味での素人が勝ち組入りすることはまさに至難の技と言えます。
どの世界でもそうですが、投資の世界にも例外なく、プロが存在します。この資産運用・投資のプロたちは、日々寝る間も惜しんで情報収集に明け暮れ、運用資産をいかに増やすかということに全身全霊を捧げています。投資の「ド・素人」の私たちが逆立ちしても、プロには敵わないのです。それでも・・・もしかして・・・などという淡い期待を胸に、今日もマーケットに初参加する個人投資家が後を絶ちません。
プロにお任せする
幸いにもこの資産運用のプロたちに、私たちは「乗っかる」ことが出来るのです。世界中に資産運用の商品は溢れています。ファンドというのは、市場から資金を集めて、プロのファンドマネージャーといわれる運用のプロが皆様に代わってその資金を運用します。株式ファンド・債券ファンド・ヘッジファンド・不動産ファンド・商品先物ファンド等世界中には様々な運用手法があります。ではこれらの商品のどれが自分に適した商品なのでしょうか?星の数ほどある運用商品の中で自分の目標・ライフプランなどに適した商品を見つけることは至難の業だと言えます。
リスク別金融商品 海外資産運用術-7
海外資産運用術-7
この世に絶対などあり得ない
リスクに応じたリターンを期待する
老後の生活資金に関して、前回お話をさせて頂き、皆様も大体どれ位のお金が必要となるかがお分かりになってきたのではないでしょうか。
以前に「72の法則」のお話をした際にお分かりかと思いますが、普通預金・定期預金にお金を預けておいたとしても、資産価値を上昇させるには途方も無い時間が掛かってしまいます。すると必然的に、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」ということで、ある程度のリスクは冒さないと資産運用にはならないということになってきます。
「リスク」と聞くと、危険なモノを思い浮かべる方も多いかもしれません。資産運用・管理において、「リスク」とは、「上下にぶれる可能性」を表したものとして理解をされるのがよいでしょう。プラスのパフォーマンスを上げて利益を出す可能性と同時にマイナスのパフォーマンスで損を計上する、二つの可能性が常に隣り合わせにあるわけです。
銀行の普通預金のように極めて安全と思われている商品であっても、極端なことを言えば、戻ってこない事さえあり得るということです。極端な例ですので、私個人的にはまずあり得ないと思っていますが、それでも国家財政が破綻して、銀行預金が封鎖されるようなことになれば、当然の事ながら銀行預金は途端に流動性を失い、その価値が失われてしまう「リスク」をもっています。
つまりは、そのリスクが現実となり得る確率が高いか、低いかの違いだけであり、全てのことにリスクは存在するのです。投資した日本の国債が紙切れになってしまうリスクは(今のところ・・・)低いと思われますが、外国為替証拠金取引(FX投資)で短期的な利益を追求し高いレバレッジを掛けて運用し損失を出すリスクは非常に高いといえます。
それではどの様にして異なるリスクを加味しながら、資産管理・運用を行っていく事が重要なのでしょうか?
以前にも触れたように、全ての投資家の方がそれぞれに異なった目的、目標を持ってライフプランを設計し、それに向けて資産管理・運用を行う中で、目標達成の為にリスクの異なる資産クラスの商品を組み合わせてポートフォリオを設計します。
代表的な異なる資産クラスを一つ一つ見てみましょう
・普通預金、定期預金
ビタ一文損をしたくないという人にお勧め。しかしインフレが進行すれば結果的に元本割れという可能性もあり得る
・外貨預金
海外の高金利を享受できるというメリットがある反面、為替変動リスクと共に、手数料などが高いデメリットもある
・日本株
投資と言って直ぐに思いつく株式投資。最近ではインターネットなどを介して簡単に取引が出来るようになってきたが、数多くの銘柄から初心者が個別銘柄を選び出すのは至難の業といえる
・外国株式
同様に銘柄選択が困難であり、情報量も大変少なく為替変動のリスクも受けやすい
・債券
MMFや個人向け国債などは、買いやすい反面利率は定期預金より多少良い程度
・為替(外国為替証拠金取引)
外貨預金と異なり、証拠金を担保にレバレッジを使い資金効率を高めて運用行うことが可能。しかし、雑な取引を行なうと投資元本を大きく損失する恐れがある
・投資信託
運用はプロに任せましょうと言うことで、まず初めに勧められるのがこれ。しかし国内と海外では運用のパフォーマンスにも大きな差があり、商品選択はなかなか困難
・ヘッジファンド
従来の「株式・債券・不動産」などといった、伝統的投資手法のリスクをヘッジ(回避)する方法として、個人投資家にも親しみの出てきた運用手法。マネージャーによる運用やシステムトレードを介して世界中のマーケットを投資対象に、あらゆる手法を駆使して運用が行われる
このように運用商品は非常に多岐に渡ります。あなたに合った運用ポートフォリオと運用手法の選択は、プロのフィナンシャル・コンサルタントにお任せ下さい。
タックスヘイブン 海外資産運用術-8
海外資産運用術 8
タックスヘイブンに投資すれば無税?
メイヤーインターナショナルが投資家の皆様へ紹介をしている各種運用商品は世界各地に登記されていますが、その殆どが世界的にタックスヘイブンと呼ばれる地域で登録されている商品です。
まずはじめに、タックスヘイブンをタックスヘブン(TAX HEAVEN)すなわち“税金天国”と誤解される方が多くいますが、正しくはTAX HAVEN(租税回避地)ですのでご注意下さい。
タックスヘイブンとして有名な国、地域は、マン島、ケイマン諸島、英国領ヴァージン諸島、バミューダ諸島、スイス、バハマ、モナコなどが挙げられます。日本の法律では法人税率25%以下の国、地域をタックスヘイブンと定めています。
一般的に、タックスヘイブンとは自国の産業を殆ど持たない小さな国や島国が税金の免除や低い税率を設定し、外国企業誘致などを行っている国、地域を指します。個人投資家のお客様から「タックスヘイブンの商品だから税金かからないんでしょ?」と時々質問をされます。その気持ちは分からなくもないですが、結論から申し上げると答えは「ノー」です。タックスヘイブンでは、現地で発生する法人税などの税金が免除されますが、実際に利益を享受する個人の居住地または法人が登記されている国が異なれば、それぞれその国の税法に基づいて税金を支払わなくてはなりません。直接的な税金メリットはありませんが、法人税率が40%近い日本にある会社が運用する商品に投資するのと、法人税率0%のタックスヘイブンにある会社が運用する商品に投資するのとでは、顧客に対する利益還元や手数料などの面から見ても圧倒的に後者の方が優位であることが分かります。現在、国際的な金融取引においては租税の負担軽減の為、その多くがこれらタックスヘイブンを経由して行われています。租税回避地における優位な商品を皆様の資産運用ポートフォリオに加えられては如何でしょうか。
ポートフォリオ見直し 海外資産運用術-9
海外資産運用術-9
オフショア積立プランを活用する
幅広い年齢層のニーズに対応する運用商品の一つに「積立型資産運用プラン」があります。学資資金形成、老後資金への備え、不動産購入や事業性資金の活用など皆様それぞれの運用に対するニーズは異なります。運用期間、投資金額、リスクの許容度、目標となる運用利回りなど投資家毎に異なる条件に合わせてプランの設計をオーダーメイドに行うことが可能なのが「オフショア積立プラン」です。最近では特に日本のネット系証券会社でもこの手軽にはじめることが出来る、「投信積立プラン」を盛んに紹介していますが、「オフショア版」との決定的な違いの一つに、投資選択先のファンド成績を挙げることが出来ます。
日本の大手ネット系証券会社が提供するファンド数は、オフショアの積立プランで選択可能なファンド数の約5倍と、数では大幅に勝っているものの何より大事な運用成績ではオフショアプランに遠く及びません。各上位10本のファンドの平均運用成績で見てもその差は46%以上と歴然です。オフショア積立プランでは、世界中から選りすぐられた200本のファンドから投資家毎に異なるリスク・リターンレベルに応じたポートフォリオ設計が可能になるのです。
定期的なポートフォリオ見直し
積立運用プランは5~30年という長期に渡って取り組まれます。その期間中には投資家サイドの様々なライフプランの変化(結婚、出産、就学、就職、退職、死別、継承など)があるばかりでなく、世界経済においても大きな変化が必ず起こります。世界経済を牽引してきた先進国にかわり、いまでは中国・インドなどの新興国なしでは世界経済が成り立たないことも事実です。水やエネルギーなど天然資源の争奪戦、高まる先進国の財政不安やインフレなどによる生活構造の変化など、私たちを取り巻く環境は大きな転換期にあると言えます。そうした変化に対応するためには定期的に家計全体の見直しが必要であることは言うまでもありません。投資ポートフォリオもその時々の市場状況に応じた投資先を選定することが重要です。
まずは、皆様の資産運用、投資に関する疑問や心配を弊社コンサルタントへご相談下さい。個別・グループなどお客様のご希望に併せて面談をセッティング致します。初回の相談は全て無料になっておりますのでどうぞお気軽にお問い合わせ下さい。
老後資金の形成 海外資産運用術-10
海外資産運用術-10
オフショア積立プランを活用する - 2
前回は、例として日本国内の証券会社などで販売されているファンドと、オフショア(海外)で運用されているファンドの圧倒的な運用成績の差をご覧いただきました。計画的な資産設計をもとに積立投資を行っても、運用成績の優れないファンドでは当初思い描いていたような運用結果が得られないばかりか、場合によっては運用結果が投資元本を下回ってしまう残念な結果になる可能性も高くなってしまいます。物価の高騰や、年金制度の部分崩壊など、数年~数十年後には私たちを取り囲む生活環境は大きく変化すると思われます。様々な事態に備えるためにもより安定し且つ積極的な資産運用が今後更に求められてくることは間違いありません。
セカンド・ライフをイメージする
まず資産運用を始める際に重要なのが、目的・目標を明確にすることです。お子様の学資資金形成、不動産購入資金の準備、そして老後資金の形成など様々な運用目的があります。今回は、最も多く聞かれる老後資金形成においての目標設定を取り上げます。
医療技術の発達などの恩恵で、日本人の平均寿命は世界でもトップレベルです。女性は86.39歳で世界第一位、男性も79.64歳で世界第4位です。会社員の平均的な退職年齢は60歳位ですが、それから死亡するまでの期間「平均余命」は、男性で約20年、女性では25年以上となります。この期間がセカンド・ライフとなるわけです。昨年発表された(生活文化センター平成22年度調査)情報によりますと、最低日常生活費でも約22万円、ゆとりある老後生活費においては約36万円が必要との調査結果となっています。世帯における退職後年数約23年間で計算すると276×36万円=9,936万円が、平均的な「ゆとりある老後生活」に必要なことが分かります。さて、この約1億円の資金をどう捻出するかが課題となります。この数字も現在の物価で算出されているために、将来的なインフレや増税などを加味すれば更に多くの資金準備を行わなくてはいけません。
勿論、多数の方が「当てにしている」のが退職金と年金です。しかし、企業が支払う定年退職金は年々減少傾向にあり、更に人口構造の変化などにより既存の年金制度は崩壊寸前です。これまで国・会社に頼りきりだった日本人も、最近ようやく自らの老後資金形成に着手されるようになってきました。必ずやってくる「老後」。税金の支払いは待ってくれても、老後は待ってはくれません。当てにならない年金と先行き不安な退職金、更には超低金利の銀行定期預金など1億円の捻出には多くの困難が立ちはだかります。
複利効果 海外資産運用術-11
海外資産運用術 第十一回
海外資産の報告義務化
当社のお客さまも日本の国家財政に対する不安から、資産の海外移転やオフショアでの資産運用を検討し、実行されている方が非常に多くいらっしゃいます。しかし近年、個人マネーの海外流出が急加速してい一方で、国際税務に精通した税理士は非常に少ないなどの問題点もあります。当の税務署においても特に金融商品などについて、日本国内に無いタイプの金融商品がオフショアには多くあり、商品の内容を当社に問い合わせてくるというケースもあるほどです。海外投資、資産移転にあたっては、売却/譲渡/継承/相続など様々な出口戦略に基づいたコンサルティングを長期間に渡って行っていくことが肝心です。
複利の効果を実感する
数学における最も偉大な発見は複利の力である(アインシュタイン)
複利は、世界7大不思議に次ぐ8番目の不思議だ(ロックフェラー)
銀行などで金融商品の利率を見ると、そこには「単利利息」とか、「複利利息」という言葉をにしますよね。この利息の種類が、資産運用ではとても重要な意味を持ちます。
単利―当初預け入れた元金にのみ利息がつくだけのもので、代表的な商品は、定期預金、国債、抵当証券などです。
複利―期間中に発生する利息を元本に繰り入れて、それを新しい元本とみなして再投資して利息を計算するもので、投資運用を行う際には通常「複利」計算を行います。
例えば、1,000万円を年10%で20年間運用した場合、複利の場合約6・73倍となり、単利の場合は3倍、その差約370万円となります。複利効果を生かした長期投資を実践するポイントは安定です。商品基準価格、利回りが安定しており、長期間投資が可能というのが条件。ところが、そんなに都合のよい商品はそうそうありません。例えば、株式投資の場合、誰もが知っている大きな企業であっても、年に2・3割は株価が変動します。配当にしても、長期間安定しているわけではありません。そこで、重要になるのが分散投資です。古くから言われるように、一つの商品に全額投資をするのではなく、株式・債券・土地など、商品価格の相関が薄 い商品を組み合わせてポートフォリオしなければいけません。もし、あなたが投資について勉強したいと考えているなら、最初に調べなければならないのは、ど の商品がいいか?ではなく、どう資産を守るのか、つまりはポートフォリオ理論です。
為替ディーラーからのこぼれ話
昔、外為が自由化される前の逸話で、某外資系の為替ディーラーが50本(1本100万ドル)のポジションを張ったままトイレに行ったら、その間にマーケットが2円逆に動き、1億円ヤラレタという話・・・。これは20年近く前の東京マーケットの日中の話らしいです。今は滅多なことでは日中、トイレに行っている間に2円も動くことなどないと思っていましたが、ここ1~2年の間にはそんなことが何度もありましたね・・・。今は言いませんが、その昔、「2円に行ってくる」はトイレに行くというディーラー仲間での“隠語”だったらしい・・・。
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メイヤー・インターナショナル
メイヤー・インターナショナルはオフショア金融商品サービスに特化した独立系資産運用コンサルティング企業です。弊社は、独立系としての強みを活かし、中立的かつ客観的な立場より、世界中の様々な金融機関と連携を図りながら、個人ならびに法人のお客様のニーズに合ったグローバルスタンダードな資産運用設計を提供いたします。お客様の資産運用に関する具体的な目的や目標を理解し、その目標を達成するための最適な運用戦略を提供することが我々のミッションです。